{"created":"2023-06-20T13:03:49.460548+00:00","id":2401,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"814a1aff-f604-47df-9652-44dd6d7d8d36"},"_deposit":{"created_by":10,"id":"2401","owners":[10],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2401"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:osu.repo.nii.ac.jp:00002401","sets":["22","22:23"]},"author_link":[],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2022-03-19"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"大阪産業大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"34407","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(経営学)"}]},"item_10006_description_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"2021年度","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"I 問題設定と研究目的\n歴史上の第一次産業革命(1760年代-1830年代)は、水力と蒸気機関を活用した機械製造設備の導入により、製造業を確立した。第二次産業革命(1830年代-1910年代)は、電カの使用及び分業化された労働により、大量生産と大量消費を実現した。第三次産業革命(1970年代-1990年代前半)は、IT(information technology)技術の活用による自動生産を促進し、第四次産業革命の発端となった(尾木、2015: 23;伊貝、2017: 15、17、24)。\n第四次産業革命の特徴は、単純なデジタル化に基づき、IoT、ビッグデータ、AIなど複数的技術を融合し、データ主導型時代である。2016年の世界経済フォーラムで議論が始まって以来、世界各国がそれに対応する戦略と構想を打ち出し、それに関連する本格的な取り組みが進んでいる(Schwab,邦訳、2016: 72; Schaeffer,邦訳、2017: 13、27)。 \n2021年は、第四次産業革命に入った5年目である。ここ数年は、新型コロナウイルスの感染拡大など世界経済に影馨を与える事件が頻繋に発生している。これは、第四次産業革命によってもたらされた「不確実性」を激化すると同時に、過去数十年のビジネス慣行や業務モデルに慣れた実体企業に、巨大な衝撃をもたらし、人間の働き方と価値観、生産工程、情報資源共有の方法などに大きな変化をもたらしている。\nところが、時代が変わっても、企業は戦略経営の観点から、目的達成に必要な意思決定、投資に関連した分野の行動を検討しなければならない(Teece,邦訳、2013: iii)。戦略経営論(Strategic Management)は、1980年代初のポーターが提唱した「競争戦略論」、1980年代後半のバーニーが提唱した「資源ベース論」、レナードーバートン(1995)が提唱した「コア・ケイパビリティ論」、及び1997年のティースが提唱した「ダイナミック・ケイパビリティ論」によって発展してきた。\nダイナミック・ケイパビリティ論は、多くの研究者が異なる視点から議論を展開したが、矛盾した定義や認識があることから、定論があるとは言えない。特に、ダイナミック・ケイパビリティに関する最大の論点は、ダイナミック・ケイパビリティと企業の競争優位との間に、どのような関係性があるかという問題である。例えば、ティース等に代表される研究者は、「ダイナミック・ケイパビリティは、企業の長期的な競争優位をもたらすことができる」(Teece, 2019、邦訳:133-135)と主張した。一方、アイゼンハルト&マーティン等に代表される研究者は、「ダイナミック・ケイパビリティは、企業の長期的な競争優位をもたらすことができない」(Eisenhardt & Martin, 2000: 1106-1110)という二分化論を展開する。\n本研究では、まず、ダイナミック・ケイパビリティ論に関する定義、構成の複雑性、及びダイナミック・ケイパビリティと企業の競争優位との関係性に関する見方の矛盾等の問題を解決し、「第四次産業革命時代におけるダイナミック・ケイパビリティ・フレームワーク」を構築したい。そして、「コラボレーティブ・イノベーション(Collaborative Innovation)」という新しい視点から、ダイナミック・ケイパビリティと競争優位の関係性を明確にしたい。\nその理由は、次の通りである。従来のダイナミック・ケイパビリティ論は、シュンペーター(1926)の思想に基づき、チェスブロー(2003)が提唱した「オープン・イノベーション」の概念も取り入れてきた。ところが、第四次産業革命時代に至って、企業は、内部の研究開発に注力し、既存市場、単一業界向けに、製品やサービスを提供するだけでは対応できない。この時代では、データに基づく急速な市場変化に対応し、さらに業界を越えて、企業間の技術、資源、ブランドのコラボレーティブな協カシステムが求められる。企業は模倣困難な強いダイナミック・ケイパビリティを構築した上で、コラボレーティブ・イノベーションによって付加価値を生み出し、長期的な競争優位を維持することができると考えられる。\nII研究範囲\n本研究は、「ダイナミック・ケイパビリティ」と「コラボレーティブ・イノベーション」を中心とした理論研究を基盤として、中国の実体企業と新興企業がいかにしてコラボレーテイプ・イノベーションを実現し、長期的な競争優位を獲得できるかという分析を試みる。よって、本研究の理論的な研究範囲と実践的な研究範囲は次の通りである。\n1)ダイナミック・ケイパビリティ\nケイパビリティ論は、生産サイド、知識、技能、学習といった面から企業の行動の説明を試みる理論である。その後の進展により、戦略経営論の系譜、組織の経済学の系譜の二つの流れに分類できる(渡部、2010: 67)。本稿は、主に戦略経営論の系譜を中心に議論を展開したい。\n戦略経営論の中で、20年余りの議論の展開を経て、比較的新しい研究課題はダイナミック・ケイパビリティ論である。ダイナミック・ケイパビリティ論の最初の提唱者であるティース(2007、2012)によれば、ダイナミック・ケイパビリティは、急速に変化する事業環境に対応したり、可能ならば環境を形成したりするために、企業内外の資源やケイパビリティを統合、構築、再配置するような企業ケイパビリティを決定し、より高次のケイパビリティである。\n既存研究を振り返ると、ダイナミック・ケイパビリティの理解は、「企業ケイパビリティ」、「企業プロセス」、「企業プロセスとケイパビリティの混合型」、「企業知識の発展」、「企業の経営者」という5つの視点に分類される。既存研究の問題点を解明するために、本研究は、企業ケイパビリティ、リーダーシップ、イノベーション、ビジネスモデルに関する知識を用いて議論を展開したい。\n2)コラボレーティブ・イノベーション\n2015年の世界経済フォーラムのレポートの中で、「コラボレーティブ・イノベーション」を、新興企業と既存企業が補完的な資源を共有し、革新的なアイデアをサポートするための取り組みを組み合わせることであると定義している。このようなコラボレーテイプ・イノベーションを通じて資源を共有すれば、当該企業だけではなく、こうした協カ体制が取られた経済にとっても重要な価値が生み出されると主張している(Schwab,邦訳、2016: 80)。本研究では、このコンセプトを参考にして、コラボレーティブ・イノベーションの定義、形式、実現プロセスを明確し、それとダイナミック・ケイパビリティ、企業の競争優位との関係を明らかにしたい。\n3)実体企業と新興企業\n中国の実体企業は、長い歴史を持ち、製品を商品化するための資源、経験、知識を有し、高度な研究開発投資、知的財産権の保護と管理、広範な市場を持つという長所がある。しかし、官僚主義と慣性、情報の流れが遅くなり、柔軟性が低下し、創造的思考の不足とリスク回避の文化へのアクセスが少ないなどの短所がある。\n中国の新興企業は、技術的な知識の源泉に近い、高い柔軟性、市場機会や裔威への迅速な対応、特定の領域を詳しく知っているという長所を持つが、他方で、資源の不足、物的資源が少なく、成功の記録が限られ、コア製品以外の専門知識の欠如、企業規模、流通チャネル、競争、市場参入の問題、貧弱なインフラなどの短所をもつ企業を指す。\n2015年の世界経済フォーラムのレポートは、欧州の企業を中心に議論されたが、それ以外の企業に言及していないため、本研究は中国の実体企業と新興企業とのコラボレーティブ・イノベーションを中心に論じたい。\nⅢ 研究方法\n本研究は文献調査を中心に論文の理論的な骨組みを立て、その後、中国の実体企業に関する事例分析を通じて、ダイナミック・ケイパビリティ理論、コラボレーティブ・イノベーション理論を論述したい。\nまず、大阪市立図書館と大阪産業大学のデータベース、CiNii Articles、EBSCOhost、日経BP記事検索サービス、また、中国のデータベース「China National Knowledge Infrastructure(以下で「CNKI」と略称する)」における経済・管理学分野の研究を活用したい。具体的には、企業のダイナミック・ケイパビリティ、イノベーション・マネジメントに密接な関係がある欧州、日本及び中国の既存研究をレビューしたい。\n次に、企業調査として、主に参与観察法を用いて企業現場の訪問調査を中心に、管理職の職員とのインタビュー調査を実施した。調査対象の企業は、中国における調味料業界の「江蘇恒順酢業株式会社」、外食業界の「海底撈火鍋」に代表される実体企業である。2社へのインタビュー調査を通じて、2万字近くの対談記録を整理した。\nそして、企業の訪問調査から得られた企業年度報告、第三者機関が作成した投資家向けの企業調査報告書、業界調査報告書などの信頼度の高い資料を利用した。\nIV研究結果と結論\nまず、第一部のダイナミック・ケイパビリティ論に関する既存研究のレビュー、第二部の第四次産業革命時代におけるダイナミック・ケイパビリティ・フレームワークの構築、および第三部の中国の実体企業に関する事例研究を通じて、第四次産業革命時代における企業の強いダイナミック・ケイパビリティは、「強いオペレーショナル・ケイパビリティ(コア・ケイパビリティ)と弱いダイナミック・ケイパビリティ(スマート・ケイパビリティ)の構築に基づいて発展してきた、不確実性の環境に適応できる独創的な(模倣困難な)ケイパビリティである」と定義する。強いダイナミック・ケイパビリティが応用される時に、持続ケイパビリティ、創造ケイパビリティ、変形ケイパビリティに分解できる。\n次に、第四次産業革命時代における世界情勢の変化(VUCA時代)、および中国のデジタル諸政策の推進と消費者の構造の変化により、筆者は強いダイナミック・ケイパビリティを生かし、中国の実体企業を中心とした「コラボレーティブ・イノベーション」という独自の視点を提示した。経済的な側面から見ると、コラボレーティブ・イノベーションは「人間とAIのコラボレーション」によって効率化と人件費の削減を図り、AIと比べて人間が持つ優位性を十分に活用し、付加価値生産性を高めるための道筋である。戦略的な側面から見ると、コラボレーティブ・イノベーションは「実体企業と新興企業のコラボレーション」を通じて、Win-Winのビジネス・エコシステムを構築し、エコシステム価値を獲得するための戦略である。言い換えれば、コラボレーティブ・イノベーションは従来の生産プロセスを改善し、新しい製品・サービスをもたらし、実体企業が完全なビジネス・エコシステムを形成することに役に立つ。そのため、実体企業は従来の「競争力の優位性」と「付加価値の優位性(付加価値生産性の向上とエコシステム価値の獲得)」を重ね合わせて、長期的な競争優位を獲得することができると主張する。この視点も、ダイナミック・ケイパビリティが企業の競争優位に関係しているかどうかという長年の議論に新しい解決策を提供する。\n最後に、以上のような議論に基づいて、戦略経営論の視点における従来の「勝者はすべてを取る」というコンペチティブ(Competitive)のパースペクティブから、「協調して価値を共創する」というコラボレーティブ(Collaborative)のパースペクティブヘのシフトが必要であると主張したい。\nVI 研究意義\n1学問的意義\nダイナミック・ケイパビリティは、現代の経営学で最も注目される研究の1つであるが、「末だ理論とは言えない」という経営学者の意見が多いことも事実である。本研究における既存研究のレビューから見ると、ダイナミック・ケイパビリティに対して少なくとも5種類の定義が提示されている。本研究は、1997年から英語で書かれた論文を中心に、広範囲かつ総合的な文献調査を通じて、影醤力のある多くの研究を整理した。本研究は、これらの優れた研究を踏まえ、従来のダイナミック・ケイパビリティ論では完全に説明されていない低次ケイパビリティと高次ケイパビリティの区別、それぞれが含まれているミクロのケイパビリティを明確にしたい。よって、本研究はこれらのダイナミック・ケイパビリティのコンセプトを発展させる上で、企業のコラボレーティブ・イノベーションを実現する方法、過程を明らかする、学問的な価値があると考えられる。従って、本研究の学問的にユニークな視点は、次の3つである。\n1つ目は、ダイナミック・ケイパビリティ論の既存研究における構成要素、性質、及びミクロ的ケイパビリティに関する曖昧な定義、重複かつ論争になるところを統合し、第四次産業革命時代におけるダイナミック・ケイパビリティ・フレームワークを構築した。\n2つ目は、コラボレーティブ・イノベーションのコンセプトを拡張する上で、コラボレーティブ・イノベーションとダイナミック・ケイパビリティの関係性、それらが企業の競争優位に影響するかどうかという問いに答えを与えた。\n3つ目は、従来の「コンペチティブのパースペクティプ」とは異なり、「コラボレーティブのパースペクティブ」から、戦略経営論への新しい理解を与えた。\n2実質的意義\n第四次産業革命時代において、多くの伝統的な経営モデルが崩壊している。既存の実体企業は、過去の成功に満足するだけで、第四次産業革命時代の急激な変化を重視しないことから、最終的に倒産に至っている。また、ある企業は優れた資源を所有しているにもかかわらず、それらを効果的に調整するケイパビリティを持っていなくこともある。従って、今日の不確実な環境に対応するために、企業の管理モデルと競争戦略をそれに対応して調整する必要がある。\n日本と比較して、2010年代後半の中国は、デジタル化に関する諸施策、中産階級と富裕層の台頭、新しい世代の若い消費者、電子決済の爆発的な増加により、社会と企業の経営環境、消費者のニーズと価値観が劇的な変化を遂げている。従って、中国の実体企業がいかに変化に対応し、長期的な競争優位を獲得しているかのプロセスを研究し、その背後にある法則を見つけることは、第四次産業革命時代(VUCA時代)の下で裔い実用的な価値を持つと考えられる。また、本研究が行った優れた実体企業の経営モデルに対する分析は、現代的な産業文明に向かって進んでいきたい中国企業に良い影響を与えると考えられる。その同時に、中国の社会・市場に対する分析は、中国市場に参入しようとする日本企業に参考になる実質的な意義があると考えられる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"営博第22号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85","subitem_version_type":"VoR"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open 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